2019/08/06

夏の間そこかしこで騒ぎ立てる蝉たちの声を聞いていると、その騒々しさにどうしようもないほどの苛立ちを覚えてしまう。
だがよく考えてみれば、蝉の声はいかにも日本の夏を思わせる風流なもので、こうした季節の風物詩を大事にしたいものだとつくづく思えてしまうのだ。
その一方で、夏じゅうこんなに大声で騒ぎ立てる必要が果たしてあるのか? と思えるほどの騒音ぶりに腹が立ち、そこらじゅうに殺虫剤を散布して回りたくなる気持ちを抑えることができない。
もちろん、そんなことを実行するのは風流の分からない欠陥人間だけであり、夏気分を満喫するべく蝉の声に耳を澄ませながら西瓜などを食べるのは、この上ない幸福な時間だ。
だがちょっと考えてみればこんなに大音量で騒ぎ立てる必要があるとは思えず、嫌がらせなのか? と疑いたくなるほどの騒音に対して激しい怒りが湧いてくる。
とはいえ、夏だけにしか味わえないその合唱を浴びながらかき氷などを食べることは、子供の頃から親しんできたこの国の原風景のようなものに思えてならなかった。
だからといってどこへ行ってもひっきりなしに鳴き続ける狂ったような昆虫たちに対し、強力な殺虫剤を浴びせて全滅させてやりたいという感情は紛れもなく存在するのだ。
そんなことを実行するのは暑さで頭の狂った社会の敵というべき危険人物だけであり、焼きとうもろこしなどを齧りながら蝉の声を楽しむことだけが、この季節ならではの素晴らしい過ごし方なのである。