2019/08/31

昼ご飯をお腹いっぱい食べたために、私は急速に眠気を感じ始めていた。
もちろん昼ご飯をお腹いっぱい食べたことだけが、眠気を感じている原因だとは限らない。それどころか昼食と眠気には何も因果関係がない可能性さえあるのだ。
ご飯を腹いっぱい食べたら必ず眠くなるのだとすれば、昼休み後の午後のオフィスはすやすやという寝息や、グーグーといういびきの音に包まれた仮眠室のような空間に変わり果ててしまう。
そんな空間はもはやオフィスとしての機能を喪失している。上司や同僚がむにゃむにゃと寝言をつぶやいている横では、誰もまともに労働する気力など湧かないだろう。
長く停滞し今後も浮上する見込みのない日本経済が、そんな真昼間から寝静まった呑気なオフィスに居場所を与えてくれるとは、到底思えないのだ。
だからそんなオフィスがもし実在していたとしても、とっくにこの世から抹消されていることが予想される。
つまりきわめて現実味の薄い与太話に過ぎず、こんな話は即刻打ち切って本題に返らなければなるまい。
だが私の眠気はすでに限界の域に達しており、この先を書き綴ることはもはや困難になりつつあった。
眠たさの原因は昼ご飯をお腹いっぱい食べたことなのだが、もちろんそれだけが眠気の原因であるとは限らない。
人はとくにこれといった理由もなく睡魔に襲われることがあるのだ。