2019/08/24

私は一日に何度空を見上げるのだろう? 数えたことはないが、部屋の窓から見える空も含めれば、二度や三度では済まないはずだ。少なくとも十回以上は視界に収めているはずだが、いまだにUFOが空を飛行しているところを見たことはなかった。
なにも編隊を組んで軍用機のように空をよこぎるUFOの群れを期待しているわけではなく、ただぽつんとひとつだけ迷子のように青空の一角に浮かぶUFOを目撃できれば、それでいい。べつに証拠写真や動画などを撮影して、人気者になりたいなどという下心があるわけでもないのだ。
ただ、写真の出来がよければTシャツにプリントしてさりげなく着こなしてみたい、という気持ちは少しある。
それはべつにUFOの写真撮影に成功したことを世間にアピールしたいからではなく、単純にTシャツの柄として興味があるということだ。
だから手ぶれしたりピンボケになったり、出来の悪い写真になったときはもちろん断念するつもりだ。
実際のUFOは思わぬタイミングで出現するだろうから、プロのカメラマンでもない私にはろくな写真が撮れないことが予想されるのだが……。
それでもカメラのついた携帯電話がポケットにしのばせてあるだけで、どこか心強さを感じられるのは確かである。
今からプロの撮影技術を必死に習得したとしても、都合よく念願の被写体が頭上に飛来してくるとは限らない。
それどころか、高い撮影技術を持つ人間の前に出現すれば撮影されるリスクを負うことになるのだから、UFO側でそれを避けている可能性もある。
未知の存在たちは、それくらいのことは易々とやってのけるだろう。おそらくテレパシーなどを活用して。