2019/08/12

朝早く目を覚ますと、まだ寝ていられた数時間を無駄にしてしまったような気分になり、枕の上で深くため息をついてしまう。
もちろん、そこからふたたび眠りの世界にもどってもかまわないのだが、いったん朝の光に目を触れてから帰っていく眠りの中は、どこかよそよそしくてくつろげない雰囲気に変わってしまっているものだ。
さっきまで見ていた夢の続きが運よく見られたとしても、どこか気が散って没頭しきれない映画の続きを見るようで、やはり夢の中でさえため息をついてしまうのだ。
だからいっそのこと、ベッドを飛び出してまだ明けきっていない朝の町を颯爽と歩いてみるのも、じゅうぶん考慮すべき選択肢のひとつだろう。
ふだんは見かけることのない、近所の家の室内で飼われている犬たちが、朝の散歩に連れ出されて興奮気味に歩いていく姿とすれ違う。もちろん飼い主が一緒にいるので、そんな犬たちを「動物なら動物らしく、もっと自由に野山を駆け巡ってみろ!」と首輪を外して解放してやることはできない。喉元まで出かかった台詞を飲み込んで、無言で見送ることしかできないのだ。
いつかすべてのペットたちを、人間たちの都合で囚われた不幸な境遇から解放してやりたい。そんな私の願いも虚しく、何匹もの哀れな犬たちとすれ違う羽目になり、私の心は朝だというのに暗く沈んでいった。
せっかくのさわやかな時間帯が台無しにされた気分で、私は不愉快さを隠しきれなくなったためか、犬を連れた飼い主たちはみな私の歩くのとは反対側の歩道ばかりを通るようになった。
おかげで哀れな囚われの動物たちを至近距離で見ることがなくなり、私の心は徐々に平穏さを取り戻し、顔には笑顔まで浮かぶようになった。
空はよく晴れ、すでに蝉の声が響き始めている。今日もきっと暑くなるだろう。