2019/04/21

何か途方もないまぶしさをたたえた星が、空に浮かんでいるような気がした。見上げたら目が潰れてしまうほどの星。それは人類の未来に輝く希望の星である。未来を直視することは、我々の誰にも許されてはいないのだ。だから我々は、およその方角だけをその途轍もない光の一部を瞼や背中に浴びることで察して、けっしてそこへ瞳を向けないという慎重さによって未来を意識し続けるのである。
未来を直視した者がうしなうのは、その未来へと接近しやがて知らぬ間に通り過ぎてしまうという幻滅への権利である。この幻滅のくり返しこそが生なのだとしたら、未来の直視によってもたらされるのは死の前倒しだろう。
たとえば濃い色のサングラスをかけることで瞳を隠している者は、いっけんこの「死の前倒し」後の世界を模倣しているかに見えて、実は未来に輝く星の途方もないまぶしさを遠ざけることで「幻滅のくり返し」つまり生の引き延ばしをはかっていることになる。
サングラスによって守られた瞳は、あのすべてを焼き尽くす希望の光を見つめる姿を演出することができるが、そのとき瞳が見ているのはサングラスの黒さそのものなのだから、あまり心配はいらないのだということを知っておくべきなのだ。
ただしサングラスの機能には商品によって大いに差があって、過信することで目を傷めるようなケースも多く存在する。レンズ一枚によってもたらされる夜はおよそ脆いものであり、時々腕時計などを確認することで正しい現在時刻を意識することが大事なのだという話を付け加えておきたい。