2019/04/10

春は出会いと別れの季節だと言われている。春には出会いがあり、それと同じ数だけの別れがあるからだ。別れることで人は出会うのだと言えるのなら、どんな悲しい別れもただ悲しいばかりではないし、まして春の別れは旅立ちを意味しており、すぐに出会いの場面へと切り替わる予感が胸を熱くさせる種類のものだ。
だから春の訪れを体感しながら、誰もがこの季節に経験した出会いと別れを心によみがえらせ、しばらくの間感慨にふける時間が過ぎるのだろう。桜の花がパッと開いてパッと散ることも、この春という時間にひらめくフラッシュのように過去の出会いと別れを照らし出す光の役目を果たしている。いったいどれだけの人々が桜の木の下で、今まで出会いと別れの劇を演じてきたのだろう? それは劇と呼ぶにふさわしいドラマチックさを持ちながら、あくまで現実の一場面であり、その前後によこたわる人生の時間にひとつの彩りを添えるものだ。
この春に別れてきた人たちと、あらたな出会いをする人たちとがともに笑顔で手を振っている、そんな感動的な映画のシーンのようなものがそこらじゅうで発生しているのだと思うと、胸がいっぱいで食事も喉を通らなくなり、思いがけないダイエットの効果があることがSNSの口コミなどで広がっていると言われている。
ただダイエットには専門家による指導が不可欠であり、素人が世間の噂を耳にして実行するタイプのダイエットには健康上の危険が伴うことはもっと指摘されるべきなのだ。
そうしたダイエットに効果が全くないとは言わないが、多くの場合偶然に左右される不安定なもので、データの裏付けなどはもちろん存在しない。あくまで栄養バランスを保ちながら効果的な運動を続けるのがダイエットの基本なのである。そこをないがしろにするかぎり、もし体重の減少が確認できてもどこかに無理が生じている可能性は拭えず、いわば命を削って脂肪を落とすという本末転倒な事態を懸念しなければならない。
春という季節が人の心身にもたらす影響は甚大なものだ。そこで演じられる出会いや別れというエピソードの表面的な派手さに惑わされることなく、自分の心身のありのままの状態を正確に認識し、健康管理を心がけてゆきたいものである。