2019/01/28

朝目を覚ましたとき、私はこう思った。
「これは本当の目覚めなのだろうか? ただ単に目が覚める夢を見ているだけで、じっさいにはそのまま睡眠状態が続いているのかもしれない。だとすればこれから布団を出てトイレへ行ったり、朝食を食べたりといった行為はすべて夢の末端に付け加えられたエピソードに過ぎず、そのことで引き延ばされた本当の目覚めがやがてやってきた際には、もう一度最初から同じことをくり返す破目になるのではないだろうか。だとすればそんな無駄なことはせず、ここで本当の目覚めの訪れを待つのが得策かもしれない」
だがいつまで待ってもその「本当の目覚め」とやらは訪れず、私は二時間ほど天井を眺めた後「これはどうやら現実の世界のようだな」と判断して素早く布団を出た。
とはいえ、無職で特にバイトなどもしていない私はそれで何の不都合もないのであり、むしろ一日のうち二時間も時間を潰せたことをうれしく思い、自然に顔がほころんできた。