2019/01/26

生活のために働かざるをえない人々が、そのことに付け込む悪辣な資本家たちにひどい労働環境の牢獄に閉じ込められ、毎日悲鳴が飛び出そうになるのを口にガムテープを貼るなどの各自工夫をして必死に耐えている。
時にはガムテープが剥がれてそれまで溜め込んでいた悲鳴が噴出することもあるが、誰に頼まれたわけでもなくふたたび自分で新しいガムテープで貼り直してしまうので、その悲痛な叫びは長くは続かない。人々は体制に飼いならされるあまり、自腹で自らを拘束する道具を買いそろえ、それが奴隷のエチケットだとばかりに資本家に望まれる自分を演出するのに精一杯なのである。
まったく光の見えない、人類の歴史より長いトンネルに入ってしまったのか? と思うような闇が我々の前に続いている。だがここですべてを諦めることは、資本家たちのパーティーに並ぶ料理の材料になるため、行儀よくキッチンに列をなす動植物の地位に甘んじることだ。
美味しく調理されるな! 煮えたぎる鍋をひっくり返し高価そうな皿を叩き割れ! 生きたままパーティー会場に飛び込んでやつらの度肝を抜き、聞くに堪えない暴言を吐いたり、やつらの肥えた尻に噛みついたりして楽しげなパーティーを恐怖のどん底に突き落せ!
そのようなアジテーションを心の中で熱くくり広げながら私は「資本家のパーティーの会場はどこにあるのだろう? なんとなく宇宙ステーションの中などで開催されているような気がしないでもないが……」そう思うと、無意識のうちに視線は上空に向けられた。
雲ひとつない青空だ。