2019/01/25

部屋の中が寒いので、もしかしたら外のほうが暖かいのでは? と思って外に出てみたところ、外はさらに寒いことが判明したので私はかなりのスピードで歩き始めた。
こうして歩いていると、体内が熱を帯び始めて自然に温まってくるという話を聞いたことがあった。たしかにじわじわとまるで体のどこかに暖房装置が備わっており、それが稼働しているかのような熱を感じ始めた。
やがて私は見知らぬ広場にたどりついていた。そこには大勢の人々が集まり、何やら楽しげに時を過ごしているようだ。
「これはいったいどういうイベントなのですか?」
近くにいた丸顔の男性に私は質問してみた。
「一月二十五日の祭ですよ」
男性はそう答えて、まるでとても楽しいことが待っているかのようにその場で浮かれたダンスを始めた。
たしかに今日は一月二十五日だが、そんな祭があるという話は聞いたことがなかった。もしかしたら最近始まった行事であり、まださほど有名ではないのかもしれない。
私は期待に満ちた目で周囲を見渡した。どの人も抑えきれない喜びや興奮で体を小刻みに動かし、鼻歌などを歌っている。だがいっこうに何かのアトラクションが始まる気配はなく、祭囃子や司会者のアナウンスさえ聞こえてはこなかった。
しばらくじっとして何かが起こるのを待ったが、やがて寒さに耐えきれなくなった私はふたたび歩き始めると、広場を出てそのままかなりのスピードでアパートに帰ってきたのだ。
部屋で布団に潜り込み、私はあの後広場でどんなことが起きたのか想像してみた。だが思い浮かぶのは集まっていた人たちの期待の込められた表情だけだ。どの顔にも中年特有の小じわがあり、髪にはだいぶ白いものが混じっていた。地面にはたくさんの絆創膏が落ちていたような気がする。来年の一月二十五日まで私はこれらの光景を覚えているだろうか。