2018/12/21

自宅の裏に山があることに気づいたので、さっそく登ってみた。
登山口を見る限り家族連れで行くようなちょっとしたハイキング向けの山だと思ったが、実際歩いてみるとなかなかけわしい道だった。気が狂ったように飛びかかってくる猿などもいたので、私は近くにあった山小屋に逃げ込んだ。
すると山小屋には佐々木さんという先客がいた。子供向けの書道教室を開いているという彼は、やはり猿の攻撃を逃れてここに来たらしい。たまたま持ち歩いていた書道セットで佐々木さんが退屈しのぎに壁に書いたという字を眺めたけれど、私には一文字も読めなかった。
「猿が書いた字みたいですね」
正直に感想を述べたところ、顔を真っ赤にした佐々木さんがなぜか筆で殴りかかってきたので、私はあわてて山小屋を飛び出した。
もちろん猿には襲撃されたが、武器を持ってないだけ猿のほうがましなのだ。