2019/05/19

現在住んでいる部屋に引っ越してきてすでに二十年が経過しているが、考えてみればこれは相当な歳月ということになる。
越してきたばかりの頃、近所の路上を奇声を上げて駆け回っていた子供が、今では私のバイト先の上司であってもなんら不思議ではないのだ。
このことから得られる教訓とは、拾った昆虫の死骸などを手に持って無意味な叫び声を上げ、異様に盛り上がっている子供を見ても「そこのガキうるさいぞ!」などと怒鳴りつけたり、棒で叩いて黙らせるなどの行為を感情に任せてするべきではないということだ。
その場では静かになって一時の快適さを得られるかもしれないが、やがて成長した子供が上司となって再会したとき気まずい思いをし、最悪の場合バイトをクビになる恐れだってあるのだ。
もしも怒鳴りつけたい気持ちをぐっと我慢して、
「キミ、なかなかおもしろい虫を持ってるね、おじさんにも見せてくれないかい?」
などと友好的に話しかけ、昆虫についての知識を披露などして尊敬の念を向けられていたならどうだろう。
やがてバイト先の上司になったその子は当時のことを覚えていて、他のバイトより楽な仕事を回してくれたり、寝坊して遅刻した分の減給を見逃してくれるかもしれない。
クビになるのと較べたら、その結果はまさに雲泥の差というべきものだ。
子供の顔というのはあっという間に変化して別人になるが、むこうから見ればこちらは同じ顔のままだんだん老けていくに過ぎないなのだ。いつどこで思わぬ再会があるかわからないという点を肝に銘じて、中年の皆さんも油断することなく人生をエンジョイしてみてはいかがだろうか?