2019/05/15

この世から凶悪な犯罪はまったく減る様子を見せない。それぞれの個人が自分や家族などが身勝手な犯罪に巻き込まれぬよう、できるだけ治安のいい場所を選んで活動範囲を制限するなど、各自工夫するしか手立てはないようだ。
いかにも殺人などに手を染めそうな冷酷な表情の人物や、中でどんなことが起きているか計り知れないような不吉な森などにはできるだけ近づかないことで、少しでも自分が犠牲者になる可能性を低下させる、というのが我々にできることのすべてだろう。
もちろん、本来ならばあらゆる犯罪は根絶させて誰もが何ら警戒心を抱くことなく歩き回れる社会が理想だが、現実はそれには程遠い。警戒すべき対象は犯罪者ばかりではなく、最近では我が家の近所では凄惨な姿の悪霊も頻繁に目撃されているようだ。この場合、目撃者が警察に通報したところでなんら解決には繋がらない。たとえ市民が悪霊に呪い殺される現場に立ち会ったとしても、警察は手をこまねいて見ているだけだろう。法律はあくまで生きている人間にのみ適用されるもので、どれだけはっきり目に見えたとしても警察官は悪霊の存在を無視するほかないのだ。
もちろん法律の適用外である以上、悪霊たちの行為は犯罪とは云えない。一種の自然現象のようなものだ。今問題にしているのは増え続ける犯罪者たちをどうするかなのだが、いっそのこと悪霊の呪いによって犯罪者たちが次々と惨殺されたならすべては一挙に解決の方向へ進むことになるはずである。
ならば犯罪が起きてしまってからではなく、発生前に犯罪予備軍を悪霊が呪い殺すのが理想的な事態なのではないか。
ただし、誰を犯罪予備軍とみなすかは難しい問題で、意見が割れることが予想される。慎重に議論を重ねていく必要があるだろう。