2019/02/21

春が近づいているのだということを、最近はひしひしと感じている。
この「ひしひし」というのは春がこちらへ歩いてくる足音なのでは? という気がふとしたので、窓を開けて耳を澄ませてみたのだが、聞こえてきたのは近所の子供が発する無意味な叫び声と、遠くの線路を走る電車の音ばかり。
やはり春はとくに足音などは発せず、無音で近づいてくるのかもしれない。そう考えてややがっかりした気分で窓を閉めると、意外なことに室内から「ひしひし」という音が聞こえているのに気づいた。
これは盲点だった。外から来訪するとばかり思っていた客人は、すでに室内に招かれていたという可能性もあったのだ。そう思って急いで振り返ると、床に積まれた本の山が傾いて今にも崩れそうになっているのが目に入った。
数秒後にその山が崩れ落ちた途端、部屋から「ひしひし」という音もまた消え去っていた。
わが家に春は到着したのだろうか?