2019/02/25

今では世界から最後の希望が失われ、ひたすら闇に包まれていくだけのこの世で自分たちだけは光を浴びる権利がある、という主張のぶつかり合いだけが延々と続いている。
もちろん、どれだけ権利が固く約束されたところで、光のさしこまない世界ではそれは空手形に終わるだけだ。まずはこの闇の中で新たな小さな火をともすところから始めなければならないのだが、さまざまな属性により分断された人々が、そのために力を合わせることはもはや絶対に不可能なのだ。
むしろ互いがともしたろうそくの火をすかさず吹き消しあうことが、私たちの最大の生き甲斐になっているのではないだろうか?
そんな救いのない気持ちになった私は、本当にこのままではだめだと思い、自分にできることから今すぐ何か始めなければ気が狂ってしまうのではないか? とさえ思うのだが、一流大学を卒業したインテリではなく、そのような優秀な友人もいない私にはこの絶望の世界からの脱出方法を生み出すようなチャンスは初めから閉ざされているのかもしれない。
そんな最悪の結論に達した私は、力なく公園のベンチから立ち上がると近くのスーパーの総菜売り場へと歩いていった。
毎晩八時になるとすべての惣菜に半額シールが貼られるので、私はそこで時間調整していたのである。本日はタラの芽の天ぷらを購入した。季節の食材を調理した惣菜を半額で入手することは、私にとってこの上ない喜びのひとつだ。