2019/02/12

「ひさしぶりに、クワガタが捕りたくてたまらない気分だ」
私は自分のそうつぶやく声で目を覚ました。
さっそく壁に掛かったカレンダーに視線を向けたところ、そこには当然のように「二月」の寒々しい文字が示されていた。
「残念ながら、クワガタ捕りのシーズン到来はまだまだ遠い話のようだ……」
私の声に無念が滲んでいることが自分でもわかった。
「今から近所の雑木林に出かけたとしても、恐らく夏までその場でじっと待たねばならないだろう。そんな手持無沙汰な事態に陥ることを思えば、このまま布団の中にいたほうが余程有意義な時間が過ごせるのではないか? 夏まで待たなくても、夢の中で大量のクワガタが捕れるかもしれないのだし」
そうつぶやくと、私はふたたび眠りに落ちていった。