2019/02/18

空腹をおぼえたとき、人は冷蔵庫のドアを開けて「何かすぐに食べられるものはないかな?」という表情で中を覗き込むものだ。
そのとき買い置きしていたプリンなどがあれば、さっそく取り出して小腹を満たすことになるのだが、そう上手くいくときばかりとは限らない。
冷蔵庫が空っぽだったり、生肉や生魚など、面倒な調理を経たうえでなければ口に運べない食材が、庫内を占領しているかもしれないのだ。
その際は「せっかくだが今は調理をする気分ではないのだ……」という沈んだ表情に変わり、そのまま空腹に耐えるか、外出して何らかの食品を入手するかの選択を迫られることになる。
玄関から外へ飛び出した場合、そのまま近所のスーパーまでの道のりで空腹のため判断ミスを犯し、道に迷ったり、うっかり全力で走って途中でエネルギー切れとなり、店までたどり着けないという事態が予想される。
そのかわりに、今まで気づかなかったような小さな商店が目の前に現れ、そこではスーパーよりも家庭的な味の惣菜などが、安価に販売されているかもしれないのだ。
そのときは「買い食いなど意地汚い」などという貴族的な意見はすばやく頭から振り払い、購入した肉じゃがなどの惣菜をその場で手づかみで食べることで、無事空腹を満たすことに成功。行きとは見違えるような颯爽とした足取りで帰途に就くところが、今から目に浮かぶようなのだ。