2018/12/30

部屋の窓から外を見ていたら、西瓜売りが通りかかった。
こんな季節に西瓜売りがいるのは変だと思い、よく見ればそれは灯油売りだった。
でも灯油売りを西瓜売りと見間違えるはずがないな、と思ってよく見たらそれはやはり西瓜売りだった。
西瓜売りはだんだんこちらに近づいてくる。
「甘くておいしい西瓜はいりませんか?」
そう西瓜売りの男は言った。
「いりませんね」
私は答えた。
「じゃあ、燃やすと暖かい灯油はいかがです?」
男は言った。
西瓜売りの男は、灯油売りの男でもあったのだ。
「いりません」
私は答えた。