2018/11/30

今日は川を渡りたかったけど、渡し船に払うお金がなかった。だから歩いて川の中へ入っていくと、ほかにも金のない人たちが歩いて川を渡っていて、途中で溺れて流されていく人も後を絶たず、こうして金のない人間が不用意な行動により魚の餌になってしまえば金持ちは貧乏人の福祉のために金をとられる分が減るし、海や川の魚の数は増えるしでいいことずくめだということがわかったけれど、私もやはり溺れた。
私を食べた魚を食べた魚を食べた魚を……めぐりめぐって私が金持ちの食卓にのぼってその食欲を満たすとき、私が胃袋に唱えかけた呪詛に気づいて即座に悔い改めない限り、その金持ちには歴史上もっとも悲惨な苦痛に満ちた死がゆっくり時間をかけて訪れることになる。
この有料の川で溺死した貧乏人の肉がすべての魚、獣、植物に行きわたったとき、この世のすべての金持ちは悔い改めるか悲惨な死かの二択を迫られることだろう。
という夢から覚めてまわりを見ると、私は川原にからっぽのコンビニ袋のように打ち上げられていた。向こう岸は向こう岸のままで、私はなめくじのように道に痕をつけながら家に帰った。