2018/12/07

今日は電車に乗りたかったが切符を買う金がなかった。
子供の頃、ランドセルを買う金のなかった我が家では、両親が段ボールを切り抜いてガムテープなどで貼ったランドセルのようなものを私たち兄弟に与え、学校に通わせたものだった。
教科書やノートも買えなかったのでやはり段ボールを切り抜いて似たようなものをつくり、それをランドセルのようなものに入れた。教師や同級生にいやがらせで机を隠されると、両親はやはり段ボールで机に似たものを作ってくれたし、教室を追い出されると学校裏の空き地に段ボールで教室のようなものをこしらえてくれた。もちろん教師や同級生に似たものも段ボールでつくってくれた。彼らは私たち兄弟をいじめないかわりに、授業中も休み時間もずっと無言だったが……。
そんな私だから、段ボールでつくった切符が自動改札に拒否されてもあわてることなく、段ボールで電車のようなものをつくってそれに乗り込んだのである。
さあ帰るぞ、段ボールの我が家へ。段ボールの妻子のもとへ。